2017年1月29日日曜日

織田信長の戦い(8) - (37歳) 猛将「森可成」散る…… -

信長最大の敵「石山本願寺」



信長編に戻ります。

前回の「姉川の戦い」でどうにか浅井・朝倉に勝った信長軍でしたが、包囲網は弱まるどころか増大していきます。

信長はこれからなんと10年もの間、石山本願寺を中心とした一向宗と戦うことになります。


織田軍 vs三好三人衆



1570年、将軍殺しでも有名な三好三人衆と織田軍の戦いが始まります。

野田・福島の戦いにて圧倒的な兵力差で三好三人衆を追い詰めていく織田軍でしたが……



中立の立場だった石山本願寺が挙兵



しかし、中立の立場だった石山本願寺が突如信長に刃を向けます。

戦闘のプロでないとはいえ膨大な数の門徒を抱える本願寺は、信長の生涯で最も長きに渡り戦う最大勢力となります。


同時に浅井・朝倉も進軍



当初三好三人衆を討伐するだけの戦だと思っていた信長軍ですが、なんと本願寺と浅井・朝倉という二大勢力による完全包囲の罠でした。

将軍足利義昭の求めに応じ、日本中が「信長討つべし」と織田軍を狙います。


このままでは浅井・朝倉によって信長軍の退路は完全に断たれようとしていました。


最後の砦「宇佐山城」



信長絶体絶命の状況で、唯一かつ最後のおさえとなった拠点がありました。

森可成が守る宇佐山城です。


そうです。「本能寺の変」で最後の最後まで信長の隣で戦った小姓、森蘭丸の父親です。


1500 vs 30000



浅井・朝倉の兵力は30000。ここで全てを終わらせるべく最大限の勢力を投入した敵に対し、森可成率いる兵力はわずか1500。


しかし可成はここで素通りを許せば信長の天命も尽きると、わずかでも時間を稼ぐべくたった500の兵を率いて討って出ます。


500 vs 40000



なんと森可成はたった500の寡兵でも30000の大軍を食い止めます。

後述しますが森家は息子たちの方が有名になるものの、父親もこの戦で歴史に残る猛将となります。


しかし……。


ただでさえ一矢報いるので精一杯の勢力差に加え、さらに敵軍に10000の援軍が到着します。


比叡山延暦寺の僧兵も参戦



あの信長を討てるとなれば、どこからともなく敵の敵が味方となり包囲網は厚くなります。


まさに一騎当千、獅子奮迅の抵抗を続けた森可成軍ですが、ついに力尽きて討ち死をします。


500の兵、全員が討ち死という壮絶な戦いでした。


全員短命だが強者揃いの森家



実は、信長配下で信長より先に討ち死する有名な武将はあまりいません。
 
その中でも森可成が有名ですが、森家で最も有名な蘭丸は実は三男であり、長男はすでに戦死、四男、五男は蘭丸と共に本能寺で討ち死にをします。


また、次男でこの後大暴れをする(大問題児)森長可も、信長の死後秀吉と家康が戦った「小牧長久手の戦い」で戦死します。


親子総出で信長時代を生き切った、歴史に欠かせない一家だったと言えるでしょう。


※書きながら思い出しましたが、学生時代に筆者の先祖を調べたところこの森家に仕えていたそうです。祖父がそんな話もしていましたし、わずかながらに特別な思いが残る戦いです。



◇◆関連歴史書◆◇


ついにきちんとご紹介ができますが、最も好きな歴史小説の1つであり、2014年本屋大賞を受賞した名作です。


『村上海賊の娘』



和田竜氏




※詳細は画像より


まさに信長 vs 石山本願寺を描いた作品です。

別記事でもしっかりご紹介しますが、全4巻一気読み間違いなしです。




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著者:ひさなお
 
 TOEIC満点、作家、投資家、IT企業グローバル人事、馬券師。
 慶應義塾大学→UCLA→大手IT企業。

  第3回マイナビ作品コンテスト最優秀賞受賞。 

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森可成


2017年1月9日月曜日

<歴史マニアの半歩深読み> 新大河『おんな城主直虎』の第一印象

期待が低かっただけに意外に(もしかしたらけっこう)面白い可能性



以前のコラム(『真田丸』の描き方と魅力 (2) )でも書きましたが、女性を主人公に女性の脚本家が書く本作は大河としてはあまり期待していなかったのですが、第一話を観た印象は良い意味で期待が裏切られるかもしれません。
 

時代選択は絶妙



描く時代については実はかなり恵まれています。

井伊家を描くということは、今川義元に支配されている状態から徳川家に仕え戦国時代の終焉までが網羅できます。


これはこのブログでもまさに書いてきたように、今川義元をまさかで倒し信長が名乗りを上げるところから、秀吉が天下を統一し家康が戦国の世を終わらせるところまで全てを含んでおります。


武将選択は渋いけれど



歴史に「ネタバレ」があるのかは謎ですが、展開を楽しみにしている方のために多くは書きません。


井伊家を選んだのは渋いです。黒田官兵衛を選んだ3年前と似ている気がします。


「おんな城主」として何を描きたいのか



問題は、なぜ直虎なのか。

冒頭で女性脚本家を危惧していましたが、今まで何度も何度も観てきたのが「恋愛もの」になる恐れです。
 
※良い悪いではなく好きか嫌いかの話です。ただ、史実とてんで異なる(というかどうでもよい)恋愛のごたごたを「戦国」と呼びたくないだけです。


初回は大河ドラマらしく好感



初回のシビアな現実を含めた戦国時代の描き方、テンポの良さ、安定の俳優陣、バリエーションのある撮影場所を観る限りは、王道の大河の臭いがして楽しみになりました。
 
ある意味「三谷ワールド」の真田丸とは異なる歴史観も期待です。


ただし、「三角関係」なんてフレーズが何度か出てきており…、「歴史もの」が好きな我々が大河を観るわけで、恋愛ものが好きな層はその後9時なり10時から民放を観ることだけは忘れないで欲しいと思います。


視聴者の反応に合わせ1年かけて様々な修正が入るのも大河ですが、どうぞ「1年続く楽しみ」に大成して下さいませ。



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著者:ひさなお
 
 TOEIC満点、作家、投資家、IT企業グローバル人事、馬券師。
 慶應義塾大学→UCLA→大手IT企業。

  第3回マイナビ作品コンテスト最優秀賞受賞。 

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2017年1月7日土曜日

<戦国合戦の歩き方 (1)> 火縄銃は逃げてはダメ?

信長編は包囲網との戦いが過熱しておりますが、ここで戦国の華である「合戦」について学んでみます。


戦国時代は防御しない



映画やドラマで観る合戦シーンも、研究が進むにつれてひと昔前より再現性が高まってきたようです。


例えば、戦国時代はどうも防御をしなかったそうです。「種子島」と呼ばれた火縄銃もひたすら撃ち合って攻撃します。


本気で「勇者には弾など当たらない」と信じられていた記述が多々あります。



最強軍が先陣



いくつもの家が分かれて行われる合戦では、最も強い軍同士が先陣として戦いました。

一番最初に戦うなんて被害が…と今なら思いますが、戦国時代では先陣に選ばれることは名誉でした。


実際相手の首を取っても、はたまたこちらの首が取られて討ち死にしても「武功」となったため、先陣は最重要なだけでなく最も稼ぐこともできたのです。



槍は突かずに叩き落とし合う



槍と言えば先端の刃で斬ったり突いたりするイメージですが、実際は「叩く」が使い方だったようです。
 
長槍を持った足軽たちが横にずらりと並び、両軍で上から下へ叩き落とし合う。

一人や二人の使い手がいたところで戦況は変わらなかったでしょう。



刀は使わない?



武器と言えばやはり刀が代名詞ですが、実際は弓矢や鉄砲、槍が主体で、刀は相手を組み倒して首を切り落とす際に使うのがメインでした。



二刀流など存在しない?



ちなみにマニアックですが、「二刀流」として両手に刀を持って戦うことはほぼありえませんでした。

これは多数相手に背後を取られないため、つまり背水の陣の構えです。



合戦はエンタメ?



最後に、暇を持て余す当時の人たち、特に農民などは合戦が行われるとお弁当を持って家族で見物に行ったそうです。


この他にも驚きの知識や研究結果はありますので、時々コラムを挟んでいこうと思います。


合戦の結果だけを追うのではなく、当時の戦いや当事者たちに思いを馳せることでより深く新しく歴史が見えてくるのではないでしょうか。



◇◆関連歴史書◆◇


私自身もそうですが、初めから歴史が好きでたまらない!という人は意外に少ないと思います。

壮大さや生き方への感動、かっこよさや「え、まじで??」 という面白さなど、それぞれきっかけがあって歴史と出会います。


「教科書」のイメージがどうしても強い歴史ですが、「大人の歴史」は全く異なりエンタメであり物語です。

歴史において舞う武将たちと同じ年齢になって気付くことも多々あります。ぜひ何でもよいので一冊読んでみてはいかがでしょうか。


『NHKその時歴史が動いた(戦国武将の野望編)』



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著者:ひさなお
 
 TOEIC満点、作家、投資家、IT企業グローバル人事、馬券師。
 慶應義塾大学→UCLA→大手IT企業。

  第3回マイナビ作品コンテスト最優秀賞受賞。 

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